「……仲間?」
「ああ。わかるだろ」
少しもわからない。
なんとか情報を処理しようと頭の中はグルグルと回り続けているのに、ちっともまとまらないのだ。
やっぱりこれは夢なのかもしれない。
だって全てが幻のようだ。
絵画のように美しい青年の姿も、その青年に抱えられての空中散歩も、伝わってくる体温も。
頭上に散りばめられた金砂のような星々も、異様に近く大きく見える黄金色の月も。
非現実的としか言いようがない。
わたしは自分の頬をつねってみた。
「い、たい――」
夢の中でも痛みを感じるのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えながら、ヒリヒリと熱を持つ頬を擦った。
「――おい。お前、名前は?」
「え。さ、咲夜子」
「咲夜子。そろそろ着くぞ」
どこに、と聞こうとした瞬間、ガクンと青年の体が落下しはじめた。
「いや……っ」
無重力のような感覚に襲われて、また青年の体に強くしがみつくしかない。
