吸血鬼の眠る部屋

 


空を飛び、宵春と美月の元へ急ぐ。


びゅうびゅうと風に圧迫されて苦しいほど、スピードを出して。


星空を見る余裕もなく、わたしは蒼の体にしがみついていた。


地下にクラブがある建物の裏に、着地する。


「宵春…!」


地面に降ろされたわたしは、両手で口許を覆って声を上げた。


――酷い。


酷い有り様だった。




宵春は仰向けに倒れていた。


Tシャツから覗く左腕や首が、赤黒く変色している。


皮膚が醜く膨れ上がり、崩れて、焼けただれたように見えた。


顔や右腕は傷ひとつなく綺麗なままで、その対比が一層恐ろしい。




目を閉じて意識のない彼の頭を、美月は自分の膝にのせていた。


「助けて! 宵春が!」


黒い髪を振り乱し、わんわんと泣き喚く。


――何だろう、これは。


蒼が宵春の大きな体を担ぐ。


わたしは泣き続ける美月を抱き締め、彼女の細い背中をさする。


手が震える。


状況がわからなくて。


――怖くて。