次の日の夜。
わたしたちが揃って外に出たのは、午後11時頃だった。
「絶対に一人では動くな。俺と宵春の言うことは守れ」
蒼は道中で美月にそんな約束をさせて、目的の場所へ向かう。
飲み屋の多い通りにある、地下のクラブに入る。
氾濫する光と、爆音で流れるテンポの速い音楽。
フロアのブラックライトの下では、派手な格好の若者たちが踊ったり笑ったり酒を飲んだりしていた。
「うるさい場所」
美月が顔を歪めて、吐き捨てる。
「あ。ターゲットちゃん発見」
宵春が子供のように声を上げて、獲物の元へ歩いていく。
踊る人びとの中に入っていってしまった彼を、わたしたちはテーブル席に着いて離れた場所から見守った。
宵春が踊っている男に声をかける。
ゴツいシルバーのアクセサリーをいくつも身に付けた、日に焼けた肌の少年だった。
少し言葉を交わした後、宵春が肩を落としてこちらに向かってくる。
「ごめん、外に連れ出せそうにない。ちょっと警戒心強いみたいだねー」
「そうか…」
