そろそろ夜が明ける。
いつも通りに部屋に戻ると、美月はすでにベッドの中にいた。
「おやすみなさい」
返事を期待せずにそう言うのも、いつものこと。
だったけれど。
「…………おやすみ」
小さな声が返ってきて、わたしは思わずベッドの上で固まった。
「…なに、変な顔してんのよ」
もそもそと動いて布団から顔を出した美月が、薄暗い部屋の中でわたしをじっと見る。
「いや…なんか…ちょっとビックリして」
「馬鹿みたい」
「ば、馬鹿って…!」
「ありがと」
「――え?」
美月はにこりともせず、ただこちらを見ている。
「え、え? 今、なんて」
「…たぶん、あんたが味方してくれなかったら蒼も宵春も折れなかったと思うから」
「そ、そんなことないと…思うけど…」
「……おやすみ」
アワアワするわたしに構わず、また美月は布団の中に顔を隠した。
驚いた…。
美月からお礼を言われるなんて。
『――お前ら、いつの間に仲良くなったんだ?』
蒼の台詞を思い出す。
うん、本当に――少しずつでも仲良くなっていきたい。
わたしたちは仲間なんだから。
