吸血鬼の眠る部屋

 


だから――気持ちがわかるから、わたしは思わず口を開いてしまった。


「…あの、見張りだけならいいんじゃないかなあって思うんだけど…」


美月が驚いたように目を大きくして、こちらに顔を向ける。


わたしは彼女と視線を合わせ、微笑んでみせた。


「わたしもまだ見張りしかしてないし、一緒に見張ってくれる人がいたら安心だし…」




「咲夜子」


蒼の低い声がわたしの名前を呼んだ。


「お前は黙ってろ」


「でも……」


わたしは蒼の顔を見る。


冷ややかな瞳に負けそうになる気持ちを、ぐっと堪えた。




「でも。仲間なのに、一人で待ってるのってやっぱり嫌だと思う」


ね、と首を傾げて美月に同調する。


「うん。そんなのもう嫌…」


美月はわたしを真っ直ぐに見上げて、こくりと頷いた。


「仲間なんだから、あたしも一緒に狩りに行きたい」


お願いします。


美月はそう言って、頭を下げた。