吸血鬼の眠る部屋

 


アパートに帰ってから、食事の支度を始めた。


美月は慣れたように手際よく包丁を動かし、重そうなフライパンを振る。


料理をしたことのないわたしは、簡単な手伝いしかできなかった。


「お皿出して」


「はい」


「これ、洗って」


「はい」


…これでも少しは役に立っているのだと、思いたい。




「ただいま」


「うお! うまそーな匂いがする!」


蒼と宵春が帰ってきたときには、準備は整っていた。


味噌汁の入った鍋、鮭のちゃんちゃん焼きがのった大皿、サラダが入ったボウルに炊きたてご飯の炊飯器。


それらがカウンターに並べられている。




「ありがとー美月」


「……」


宵春が美月のオカッパの黒髪を撫でる。


美月は無表情のままでわたしを指さした。


「……一人じゃなかったから」


「え、二人で作ったの?」


宵春はビックリして目をパチパチさせた。