吸血鬼の眠る部屋

 


「どう…しようか?」


横目で美月の顔色を伺う。


美月は口をへの字にして、閉じられた扉をじっと見つめていた。


ほんの少し潤んだ瞳と小柄な容姿が相まって、まるで捨てられた子供のよう。


「……」


わたしは玄関を離れて、リビングのソファに腰掛けた。


本当に、どうしよう?




10分ほど経って、美月が玄関から戻ってきた。


重い足取りでキッチンに入り、冷蔵庫の中を確認している。


「……咲夜子。買い物に行くから、準備して」


「あ…はいっ」


蒼と宵春に言われた通り、二人で買い出しに行くらしい。




買い出しに行くのは初めてで。


美月と二人きりで出掛けるのも初めてで。


わたしはなんだか緊張してしまう。


――大丈夫、だよね?