吸血鬼の眠る部屋

 


朝起きて夜眠る。


窓から射し込む光に当たる。


わたしが送ってきた生活のそれらも、吸血鬼の体を弱らせる行為らしい。




わたしの虚弱体質は、吸血鬼の生活を送り吸血鬼の食事をとることで治るのだと、蒼は言う。


「だから飲め」


「でも…」


でも、わたしは自分が吸血鬼だなんて思えない。


吸血鬼だったとしても、人の血を飲むなんて、そんな――。




「美味しいんだけどなあ。咲夜子も飲んでみれば大好きになるって!」


宵春が笑顔を咲かせて言いながら、血液入りの瓶をわたしに渡した。


気味が悪い。


思わず頬の筋肉が引きつる。


「飲めよ」


威圧を含ませた声と視線がわたしに向けられる。


わたしはぎゅっと目を閉じ、瓶に口をつけた。