吸血鬼の眠る部屋

 


「君の体がどうしてそんなに弱いのか、どうしたら治るのか、僕らはそれを知ってるよ」


「え……?」


ぽかんとするわたしから手を離して、宵春は立ち上がり壁に背を凭れる。




蒼がわたしに透明な瓶を手渡した。


濃い赤色の液体が入った、ラベルのないジュース瓶だ。


「――飲め」


「これ、は?」


瓶を傾けると、中の液体はとろとろと独特の重さで揺れる。


嫌な予感がした。


蒼がわたしの顔をじっと見つめて、答える。


「人間の血液」




――やっぱり!


わたしはとっさに瓶を放った。


触りたくなかった。


「おっと。投げたらダメだよ、僕ら吸血鬼の大事な食糧だし――」


放物線を描いて壁にぶつかりそうになったそれを、宵春が易々と片手でキャッチする。


「君の大事な食糧でもあるんだから、
ね?」