やっと一日が終わった。
息を吸って吐いて、部屋の外から聞こえる声や物音に耳を澄ませて。
日宇良さんに体を拭いてもらって、日宇良さんに髪をとかしてもらって、日宇良さんが作ったご飯を食べて。
そうしてただ時間が過ぎるのを待つだけの一日が。
「ごめんなさい…」
子供の頃に両親を亡くしたわたしを引き取ってくれた日宇良さんに、わたしは何も返せないでいる。
原因不明の虚弱体質で、ろくに外にも出れずにベッドに寝ているばかりで。
きっとすごく迷惑をかけているのに、日宇良さんはいつも優しい。
「ごめんなさい…」
だからこうして一人の時間にひっそりと謝ることしかできない。
闇に支配された部屋の中で、わたしはゆっくりと目を閉じた。
全てがはやく終わってしまえばいいのに。
この呼吸が止まってしまえばいいのに。
そうすれば、わたしも日宇良さんもこの部屋から解放されるんだ。
