「そんなにうるさいと姫ちゃんに嫌われちゃうよ」



読んでいた本を閉じて机の中にしまい、

この教室の真ん中の列の一番後ろの席の女の子へとさりげなく視線をやった。


彼女の名前は、野々山姫香(ののやま ひめか)


お人形さんみたいな顔立ちのショートカットの女の子。



巧平の……好きな人。




「あー、ヤバイな。姫、今日も可愛いな」


「……それ、毎日言ってるよね」




運動も勉強もできちゃう完璧な女の子。

明るくて誰にでも優しいから男女共にすごい人気がある。


廊下を歩けば誰かしらに声かけられるし、
彼女が1人でいるところを見たことがない。


いつも友達に囲まれてる。


人気者。



私とは正反対なタイプの子。