「美喜ー!奏君来てるわよー!!」
「はーい!今、行きまーす!」
奥から秋塚の声がした。
「・・・・・。」
不意に秋塚の母親の目から涙が零れた。
突然の出来事に俺はびっくりして、秋塚の母親に尋ねた。
「あの、どうしたんですか?」
「あ・・・ごめんなさい。あの子にはずっと悲しい思いをさせていて、友達が訪ねてくることなんてなかったから、嬉しくて。」
「そうなんですか。」
なんか、事情があるみたいだな。
きっとそれは秋塚にとってふれて欲しくないところなんだろう。
いつか、話してくれる日まで、おれは・・・・俺たちは待たなくてはいけない。

