ありがとう。





「私はアオイと言います。」



そうやって微笑む彼女はとても儚い存在のように綺麗だった。




もしかしたらそれは、本当はこの世のものじゃなかったからかもしれない。





「あなたのことをずっとみてきました。」



彼女はそう言うといつの間に近づいて来たのか、私の手を握った。




その手は温かくて、すごく優しかった。





「あなたの運命を変えてあげたかったけれど、私たちの恐れていた運命にたどり着いてしまった。



私たちにはどうすることも出来なかった。あなたが愛した彼もあなたのことを心から愛した。



愛し合うことに罪は無い。



愛し合うことこそ生きている意味となる。


だから、彼にあなたの愛を素直に伝えてあげなくてはダメです。



私たちは、あなたたちの運命が少しでも幸せになることを祈っています。」




そう言ってアオイさんは後ろの闇の世界を指差した。