ボールを追いかけた夏

「じゃあ、そろそろ帰るか!」

「おう」

地面に置いていた荷物を肩にかけて家へと歩き出す。

やっぱり、野球部の荷物は多い。バット、グローブ、タオル、水筒、etc......。

「そういえば、錬倒れたんだってな。大丈夫なのか?」

「うん、ただの夏風邪だって先生が」

「そうか」

「うん」

「じゃあ、俺こっちだから!」

「うん、ばいばい」

「また明日ー!」

彩乃の家の反対方向に向かって走っていく。まだそんなに走る力が残ってたとは......。アイツ、スタミナなかったんじゃなったの?

そんなことを思いながら家路を急いだ。