いつものように


「 おい。帰んぞ。」


「 うん 」



朝のショックのせいか、



足取りが重く感じる。



和貴から何を言われても



素っ気なく返事してたら、


いきなり和貴が話を変えた。



「 今日さ、」



何やろ。



まぁ、褒め言葉では無いやろな。



あんまり、期待しやんとこ。



「 里奈が玄関から出て来た時びっくりした 」



爽やかに微笑みながら言う、和貴。



「 どう、びっくりしたんよ 」



ちょっとすねながら聞いてみた。



だって、どうせ褒め言葉なんかくれへ…



「 可愛いなぁって思った 」



くれた。


やっと、褒め言葉くれた。



「 う…うぅ… 」


何か泣けてきた。



褒められただけやのに



うち、泣いてる。



「 え?!ちょ、泣くなやぁ。」


「 だっで…だっで…和貴が… 」


「 あぁ、もう!お前はホンマに…! 」


一瞬浮いた気がした。



気づけばうちは、和貴の胸にすっぽり


おさまっていた。


顔が熱くなっていくのは見やんくても分かる。



和貴の低い声が振動して伝わる。



「 お前に泣かれたらどうしたらいいか分からんやんけ 」