「陽に先を越されるとか…。おかえり、由美」



続いて顔を覗かせた海斗は不服そうにしながらも、視線が合うと満面の笑みで出迎えてくれた。



「ただいまっ」



車に乗せられながら、そんな2人に私も満面の笑みで応える。



出迎えられることがこんなにも嬉しいことだなんて、前は思いもしなかった。



当たり前だと思っていたことも、当たり前ではなくなって、初めて大事なことだったのだと思い知らされる。



あの最悪の環境を再び体験したからこそ、知ることができた。



そう物思いにふけっていたところに蓮の腕が腰に回され、ハッと我に返る。



「出せ」



蓮は私を引き寄せて一言発すると、ゆっくり車は動き出した。



やっと帰れる……懐かしの蓮の家へ…。



嬉しく思いながらも、一抹の不安を抱えて家へと向かった。