「……俺より由美だ」



何故か一瞬息を呑んだ蓮だったが、すぐにナースコールを押した。



蓮より私?



意味を理解できずにいると、そっと頬に添えられた大きな手。



「やっとだ……おかえり」



仕事から帰るたびに黎から言われていた言葉。



そのときは何とも思わず受け流していたけど、蓮に言われるとジンッと心に響いた。



「……ただいま」



蓮に言ってもらうことに意味があり……私がずっと待ち望んでいた言葉だったのかもしれない。