ここまで人数をかけるほど私が欲しいのか?それとも別の何か…。



そこまで考えると上にいた男たちが周りを固め始めたので、思考を打ち切り屋根を走り出す。



足場が悪い上にこの人数…ちょっと、いやかなりキツイな。



襲いかかってくる男たちをかわしながら屋根と屋根を飛んで移動する。



そうしていると男達と間ができた。



これならこのまま逃げきれるか…。



そんな甘い考えを一瞬持ったのが僅かな隙を生み、足元に張られた罠に気づくのが遅れた。



っーしまった!



絡み付こうとする紐を身体を捻って避けるが、逃げ遅れた足が紐に引っかかりバランスを崩した私は路地の上へと投げ出された。



咄嗟に伸ばした腕は虚しく空を切り、固いコンクリートの上に全身を打ち付けた。



「ぐぅっ…」



衝撃の強さに一瞬息が止まった。



「早く助けろっ!急げっ!!」



……そういう、事か…。



今まで動揺を見せなかった敵が、私が落ちたことで動揺し隙を見せた。