「あれ?起きたんだ。…気分はどう?」



入ってきた黎は最初こそ少し驚いた様子だったが、今は気味が悪いぐらい笑顔だ。



「別に…なんともない」



素っ気なくいつも通り撥ね付けた…はずなのに黎はより一層笑みを深め、それは私にとっては不気味以外の何物でもない。



「ふーん、そんなに夜叉が恋しいの?」



「は?何でそうなる」



「それ…無意識なんだ」



そう言って私の腕を指差す黎。



それに誘導されるように視線を下げる。



するとさっき恭輔に掴まれて赤くなった箇所を、優しく包み込むように逆の手で握っていた。



咄嗟に手を離し、黎を伺い見ようと視線を上げる。



「くっ……かはっ…」



すると狂気を含んだ笑みを浮かべた黎に首を締め付けられた。