『翔！亮介！』
思わず2人の男子生徒の名前を彼は呼ぶ。

『え……』
目を見開いては驚きを隠せない少年と、
『っ…サク！』
名前を呼んでは笑顔を浮かべる少年。

サクは2人に抱きつき、ただただ嬉しそうに笑った。

篠宮 雀(シノミヤ サク)
若葉ノ宮高校2年生
もう1人の残酷な運命を背負う者

雀たち3人は自分たちのクラスとなった『2ーB』の教室に向かっていた。

『雀、身体はもう平気なのか？』
心配そうに声をかける黒髪の少年。
黒縁のメガネに手をやるその仕草はとても自然で様になっている。

彼の名前は、下野 翔(シモノ カケル)

家が呉服屋を営んでおり、言うなればお坊ちゃんだ。
本人はそこらの金持ちみたいに気取ったり自慢はしないし、一見ただの高校生だ。

『平気。まだリハビリは通わなくちゃいけないけどね』
そう雀が苦笑いで返すともう1人の少年が後ろから抱きつく。

『マジで心配したんだかんな～!!』
赤毛に所々黄色のメッシュが入っており、耳には何個ものピアスがついている。
ブレザーの下から灰色のパーカーがはみ出ていて、翔がため息をつきながらパーカーを脱ぐように言うも全く聞かない。

彼の名前は、小野 亮介(オノ リョウスケ)

ファッション雑誌の表紙を飾るほどの売れっ子モデルだ。
『亮介…痛い』
そう雀が悲鳴をあげると慌てて離れる。
『にしても災難だったな…入学式の日に交通事故に遇うなんて』
そう翔が思い出すように言うと、雀はまた苦笑いを浮かべる。