そこは東京の高級住宅街だった。
 私は泣き疲れてしまったのか、
いつの間にか眠ってしまっていた。

 「ここ・・・?」
 「あら、美鈴。起きたのね」
 「うん」

 私には父がいない。私が5つの時に
事故か何かでなくなったと聞いている。

 「疲れたでしょう。準備は明日から
開始しましょ」
 「そうだね」
 「きっとすぐに慣れるわよ」
 「うん・・・」

 お母さんは働きづめで、めったに休みが
取れない。だけどその分お金はある。
 将来私の為に、と毎日頑張って貯めて
くれてる。

 「じゃあ自分の荷物は自分で
運んでちょうだいね」
 「はーい」

 私はダンボールの箱を10往復ぐらいして
運んだ。
 ほとんどは自分の部屋に運ぶ物だったから
案外軽かったけど。
 家の外装を見てみると、平屋で壁の色は黄色、屋根は
茶色っぽい色をしている。

 「美鈴専用の部屋も、今まで
用意してあげられなかったからね」
 「ありがとう」

 ダンボールを開けて、空っぽにした所で
出したものをしみじみを見た。全部思い出
がつまったものばかり。

 「思い出コーナーはここにしよう」

 と、場所を決めて大切に保管した。