「おい!おい!大井!」
私の体を揺さぶっているのは社長だ。はっとすると、呑みすぎてウトウトしている自分。あーやちゃった。久々に呑みすぎた。

「ついまてん、あるけます~」と立ち上がってヨロヨロしていると、ほかの皆もタクシーに乗り次々に帰っていくところだった。
「タクシー乗せてやるから、ちゃんと帰れよ!」と言う社長。
「私はねー、一人でもぜんっぜえーん平気なんだからぁ。これからもずーっとひとりぼっちでねぇ生きていく覚悟もあるんだからねぇーだからあんたみたいな若造に哀れんでもらわなくても結構でっす」と道路に出ようとしたところ、
「あぶねーよ!」と社長に手をひかれ、抱かれてしまった。

「ご、ごめんなさい…あ、またシャツに口紅ついちゃいました…」

しばらく私を抱きしめている社長。私を離そうとしないんだもの、ドキドキしてしまった。

「気をつけろよ…」と社長が私の肩を持って、顔を覗き込んでいるとき…





「あれ?裕子?」と男の声がした。振り返ると、元彼だった。
「あーお前元気だったのかよ」と近寄ってきた。社長にこの男とのことは知られたくないとなぜか思ってしまった。

「行きましょ」と社長の手をとり、逃げるように歩き始めると…
「俺、美樹と別れたんだ。。。これか
らちょっと話したいんだ」と。。。

「私には話はないから、悪いんだけど…もう話しかけないで」と言うと、いきなり腕をつかまれ「話があるんだよ!」と切れ始めた。
そこへ社長が割って入ってきた。


「すいませんが、裕子とどういう関係ですか?裕子はもうすぐ俺と結婚するんですよ」と、私も開いた口がふさがらなかったが、元彼もまさかと言った感じで疑っていた。

「裕子、ほんとかよ。」とわらっている、元彼。

嘘が苦手なあたしは答えにこまってしまうと、いきなり社長にキスをされた。
社長のキスは角度を変えて、私の中へ奥へ奥へと入ってきて、私も声にならない声がもれてしまった。

長い長いキス。。。

元彼は そのうちに去って行った。