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――その願いが、叶う日が来るなんて。
しかも、こんなに早く。
「……友美」
「!」
するりと友美の手を取る。
何年ぶりだろうか。
こうやって手を繋いだのは。
友美が驚いた表情で、俺の顔を見上げる。
お互いにすっかり歳を重ねてきているけど、何歳になっても俺にとって一番大事な女。
「…………愛してるよ」
「っ!……私も……っ!」
「……うん」
目を潤ませ、友美はハンカチで涙を拭う。
泣きたいのはこっちだと言うのに、いつも先に友美が泣くから俺はタイミングを逃す。
……泣き虫友美。
これを泣き止ませる方法も、昔と変わらない。
「ほら。もう少ししたら美味いもの食えるから。泣き止め」
「っ、そんなに食いしん坊じゃありません!」
「どうだか?今朝も、緊張する~!とか言いながら、バクバク飯食ってたしな」
「うっ……」
「でもまぁ。そんな友美が好きだけど」
にやりと笑うと、友美は唇を尖らせて頬をぷうと膨らませた。
「……もう。何歳になっても、圭くんはズルいんだから」
「それはお互い様だろ?」
「そんなこと……あ」
スタッフの人から呼び掛けが掛かる。
「……じゃあ、行こうか」
「……はいっ」
手を取り合い、俺たちは歩き出す。
幸せでいっぱいの空間を。
……これからも、ずっと、ずっと、一緒に。
Fin.