「……友美も同じこと言ってたよ」

「!」

「おまえら、似てるよ。一緒になるのは正解だ。……悔しいけど」

「隼人」


穏やかに隼人は笑う。

全てを諦めたように。


「オレ……おまえに生まれたかった……友美を手にいれることができるおまえが羨ましくて、妬ましくて、仕方ない」

「……俺はおまえに生まれたかったよ。友美の心を手にいれているおまえに」

「……隣の芝生は青い、ってことか。結局オレたちはないものねだりなんだ」

「運命って、酷だよな。俺たちはただ……友美のことが欲しいだけなのに」


心と身体が完全に一つで、何の縛りもない世界なら、誰も悩むことはなかった。


「あいつのこと、頼む。オレじゃ本当に幸せにはしてあげられないから」

「……頑張るよ。どんなことがあっても、幸せにできるように。あいつのためにも、おまえのためにも」


それが俺に唯一できることだ。

そして、ただ一つだけ願うことは。


「何年後……いや、20年後でも30年後でも、死ぬ間際でもいい。あいつが、俺と一緒になって幸せだった、と心から思ってくれれば。……これから先、あいつの心がおまえにあるとしても……俺はそれだけで十分だ」