私が結婚する時にはいろんな想いがあったな、と昔話のように思い出す。

……私は兄のことが好きだったから。

結婚してからもふいに思い出す兄との間にあった出来事を思い出しては、圭くんにバレないようにこっそりと泣くこともあった。


でも、それはもう過去のこと。

そう思えるようになったのは、圭くんとの間に子どもが欲しいと心から思った時だった。

子どものことを考える時も圭くんは私のことを一番に考えてくれていた。


圭くんと愛しい子供たちは、私の大切な大切な宝物。

そんな風に思える日が来るなんて、私は何て幸せなんだろう。

私の母も同じように思っていたんだろうか?


「……幸せ。こんな日を迎えることができて」

「……あぁ。そうだな」


穏やかに笑う圭くんに私も心が穏やかになるのを感じて、なんとも言えない幸福感が沸き上がる。


「圭くんと一緒になって、本当に良かった。私、世界一幸せね。……こんな私ですけどこれからも、よろしくお願いします」

「………あぁ」


……いつもより口数が少ない圭くんに、少し違和感を覚えたけど、きっと娘が結婚することに感慨深く感じているのだろうと思った。

……本当は何を感じていたのかなんて、私には知るよしはなかったのだから。


でも、一つ言えることは、私は……

結婚した時とは違って、圭くんのことを一番愛しているということ。

心から。


私は自信を持って、今が一番幸せと言える。