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「……懐かしい」
「……そうだな」
私と夫は30年前と同じ場所に立っている。
30年前、一生一緒に生きていくと誓った場所。
30年の月日は長いようであっという間で。
あの頃は真新しかった式場も、年季の入ったレトロな雰囲気を醸し出している。
「ご両親、こちらへ」
「――はい」
スタッフの人に呼ばれ、娘の元に向かった。
――今日は私たち……私と圭くんとの間に授かった娘の結婚式だ。
*
フラワーシャワーを浴びて幸せそうに笑う娘の姿を見つめる。
娘は大恋愛の末の結婚。
たくさん悩みや相談を受けたことが脳裏に蘇る。
一時は別れると、毎日のように泣きながら言っていた時期もあったっけ。
でも、無事に晴れやかな日を迎えることができて本当に良かった。
娘の幸せが私たちの幸せだから。
「……ねぇ、お父さ……ううん、圭くん」
「ん?」
「また二人になるのね」
「……あぁ、そうだな」
私たちには二人子どもがいるけど、一人目の息子もすでに所帯を持っている。
娘が嫁いでしまったら、また私たちは結婚当初のように二人で過ごす日が始まる。