「美久」 下を向くあたしの顎に手を添えて、甘い声で名前を呼ばれる。 いつもは“おい”とか“お前”とかぶっきらぼうなのに。 なんで今に限ってそんなに優しい声を出すわけ? それに 愛翔ってこんな甘いキャラだっけ? 「お前俺の言葉聞いてたか?マヌケ面しやがって」 「マ、マヌケ……⁉」 クイッと上を向かされて視線が重なる。 そこに映ったのは、いつものように意地悪な愛翔の顔。 「失礼な‼ちゃんと聞いてるよ」 ちょっと他のこと考えてぼんやりしてただけなのに。