恐る恐る顔を上げると、そこには花火じゃなくてあたしのことを真剣に見つめる愛翔がいた。
「あたし、結ちゃんのことはなんとも思ってなくて……今は他に好きな」
人がいる、って言おうとしたのに、またもや愛翔に阻まれた。
「ウソ付くなよ。ガキの頃からあれだけ結ちゃん結ちゃん言ってた奴が」
フッと笑った愛翔の顔は、見ていられないくらい切なげで胸がざわめく。
「それは子どもの頃のことじゃん。今は他に好きな人がいるし」
「は?誰だよ、そいつ」
トーンの低い声が聞こえて、思わずギョッとする。
なんでここで不機嫌になるの?
わけがわからない。



