「一緒に……花火見ようと思って。隣に行ってもいい?」
こんなことを言いたいんじゃないのに。
いや、花火は見たいけどさ。
でも緊張してそれどころじゃないかも。
「座れば?」
立ち尽くすあたしを見て、愛翔が自分の隣を空けてくれた。
無表情だけど、言葉には棘がないから優しく感じる。
そんなことにさえドキッとして頬が赤く染まった。
「あ、うん……」
隣に座って無言のままお互い前だけを見つめる。
ドキドキしてそわそわして落ち着かない。
意識は全部隣にいる愛翔に持ってかれる。
でも居心地の悪さは感じない。
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