i.Love You

だから
久しぶりと
言ってしまいそうだった。
「どうした?ないてんじゃん」

そいつは
あたしのことを好き嫌い関係無く
心配そうな顔であたしに聞いてくれた


でもやっぱり人と話す気にはなれなくて

話しているおばさんたちを
指差した。
「あ?あのおばさんたちがどうかしたのか?」

そうだよね。
指差しただけじゃわかんないよね

こいつに…




はなしてみよう
「あの人たちが言っていること、

聞いた?」
怖かった。
何を言われるの?
そいつは顔を一回
驚いた顔にしたが
すぐもとに戻した。
「ん。あぁ~まぁ少し通り掛かったときに」

「あれ、家のこと。お父さんがさ
死んだんだよね。」
両手で耳を無意識に塞いでた。

そいつは
あたしの両手をゆっくり
無言でおろした。
「別にさ、
人の苦悩を笑ってバカにしてる奴等なんて無視すりゃいいんだよ
俺はその苦悩を一緒に思いたい。
俺も味わいたい。
人の苦悩を笑って過ごしている奴等なんてただのちっぽけな
キリギリス。」
キリギリス……… ?
「 あぁアリとキリギリスのはなし。」
あ、
嗚呼、あれか
「アリたちはせっせと冬へ向けての
用意をしているのに
キリギリスは毎日遊んでばかり。
そしてとうとう冬がきて、
アリたちは
ぬくぬく暖かい
巣で
食べ物に苦労もせず、
冬を越せる。
でもキリギリスは
遊んでばかりいたので勿論、食べ物も家もなく、
そのまま
冬を過ごした。
って話だっけ」
「そうそう!そんな感じの」
で、アリとキリギリスの話とあたしの何が結び付くのよ
「お前は父さんが死んでも
学校にしっかり来てるし
ちゃんとしているでもあのおばさんたちは人の噂して楽しんで、
いつか不幸がくるってこと」
ふ…ふぅん……
不幸…ねぇ