近くて遠い距離




「……ぃ!ーーー……おぃ!凰誠!」


蒼人に名前を呼ばれて我に帰る。


「あ、おぅ……」


俺のそんな様子を見て、蒼人はニヤリとすると



「今鈴音ちゃんのこと考えてただろー?」


「は?何言ってんだよ……!」


図星で、焦る。


「図星かよ笑」


「俺たちが会った時のこと思い出してただけだよ。」


俺は恥ずかしくなって蒼人から視線を逸らす。


「俺たちが会った時、か……羨ましいぜ!」


蒼人は一人でもがいてやがる。


こいつが藍の彼氏かよ。


藍も相当苦労してんな、きっと。


「お前は藍とはどーなんだよ」


「別にどうもこうもねぇよ?ただ、一緒に帰って他愛もない話して……俺ら倦怠期みてぇだなー」


そぅがっくりと肩を落とした。


「そんな落ち込むなよ。」


俺は蒼人の肩をポンと叩く。


「お前ら付き合ってまだ1ヶ月経ってないだろ?まだ大丈夫だろ」


「まぁ、コクったのは俺だしさ、まだ気持ちが俺に向いてねぇんだろーな。」


そう言うとさっきよりも肩を落とした。


今は6月だが5月後半に藍に思いを伝えた蒼人。


藍に相談されたが、蒼人は良い奴だよ、とは言った。本当に蒼人は良い奴だ。


藍もきっと分かってくれる日が来ると思うんだ。



「お前らしくねぇぞ。お前はお前らしくいればきっと大丈夫だ。藍は分かってくれる。」


「なんかムカつくな、お前。」


そう言うといつもとおんなじ笑顔を見せた。