近くて遠い距離



――入学式――

「凰誠!あんた入学式遅れるわよ?」


「まじかよ!やっべ!母さん、早く起こしてくれよ!」


「母さんのせいにしないでちょうだい!」


入学式当日に寝坊した俺は相当焦っていた。


「藍ちゃん待ちくたびれて先に行っちゃったわよ?」


藍からも置いていかれていた。


「行ってくる!」


俺は家をとび出した。


少し走った所で時計を見た。


――意外とまだ間に合うじゃん


入学式まで余裕はあった。


だったらもう走らなくてもいいな、と歩き出した。


今日から俺も高校生かー。


家から一番近い高校を選んだおれ。


親友の蒼斗、幼なじみの藍とも同じ高校で
そこまで緊張、とかはない。


まー、強いて言うならクラスがどうなるのか気になるな。


また、蒼斗と同じクラスだったら俺の高校生活悲惨かもなー。


そんなことをのんきに考えてる時だった。


ふと視界の片隅に何かが写った。


桜だ。だが桜だけではない、女の子が桜の木の下に立っていた。


風でなびくロングヘアーが綺麗で見とれていた。


その子がふとこっちを見た。


目が合った。


彼女について知りたくなった。


これがよく言う一目惚れなんだろうか。


だったら、と迷わず彼女に向かって歩きだした。