洗濯屋について驚いたのは、仕事の忙しさよりも
オレの姿だった。
鏡にうつったオレは白いはかまに、緑の着物。
おまけに腰には2本の刀。
どこからどうみても侍だ。
しかも、オンラインゲーム「幕末物語」のオレの格好にそっくり・・・。
不思議とあまりパニックにはならなかった。
タイムスリップなんて事を経験したからだろうか?
とりあえず、洗濯するのに刀はじゃまだろうと思い、そっと、もらった部屋の隅に置いた。
菊池さんの所へ行くと、今日は疲れただろうから休んでいなさい、と笑顔で言われ、
オレはしぶしぶ部屋に戻る。

明日からこの世界での新しい生活が始まる。
タイムスリップ当時とは違い、期待がオレの中にふわふわとうかんでいた。
でも、期待だけだったかというとそうでは無く、平成に帰れるのかという不安も、
まだかなりあった。

それを考えると泣いてしまいそうで、オレはプラス思考、プラス思考、と自分に言い聞かせた。