「・・・全部、そういうわけだよ。」
オレが話し終えると、平助は、遠くを見ながらこう言った。
「・・・仁は、連が大好きだったんだな。」
「・・・へ?」
「だって、今の話じゃ、その、分かんないけど、「学校」とか「くらす」っていうやつらが悪いんだろ?それに、(兄さんのせいで人殺しの弟って呼ばれた)って言ってたけど、本当は連が悪くないのに、そう決めつけたやつらが悪いのに、「警察」とか「先生」が決めつけたから、世間に対して反対できなかったんだろ?連のせいじゃ無いって、思ってるんだろ?」
「・・・・?」
「・・・まあ、簡単にいえば、世間とか大きな力や権力に、自分の意志や大切な人への思いをねじ曲げることはないと思う。」
とても16才って思えないくらい、立派な考えだと思った。
・・・なんだか少し、元気がでた。
「ありがとな、平助。・・・オレ、平成に、もといた時代に帰らなくちゃ。兄さんに、謝らなくちゃ。オレ、兄さんに(お前のせいで)とか言っちまったから・・・。」
自然と、ぽろぽろ涙が溢れてきた。
男なんだ、ガマンしなくちゃ。



