オレが話し終えると、平助はしばらく黙りこくっていた。
こんな長い沈黙、今のオレには、話を疑われている気がしてイヤだ。

「・・・本当、なんだよな。」

やっと、平助が口を開いた。

「本当じゃなきゃ言うわけないだろ。」

またしばらく、沈黙が続く。
今度は、平助は何か考えているみたいだった。

「あの、さ。」

平助がオレの顔をまじまじとみながら言った。

「オレは、仁のいた時代・・・平成だっけ?を知らないし、仁の兄さんに会ったこともない。だから、その時代の人たちが”人殺し”についてどういう感情を持ってるのかも分からない。
・・・それでも。仁の兄さんには、何か理由があったんじゃないかって思うんだ。仁の兄さんは、その時いったい何があったんだよ?」

理由。
そんなこと、考えたこと無かった。
ただ、人殺しだということしか、考えてない。
前に一度だけ、聞いたかもしれない。
兄さんから、理由を。

「・・・細かくは分からないけど、おおよその理由なら。」

「それでいい。話してみてくれるか?」

オレはまた話し出す。