やがて、生きているのかを確認しなければ、とオレはおそるおそる平助に近づこうとする。
激しい流血で、平助の周りは血の海と化していた。
その血の海を乗り越えなければ、近づけられない。
パシャ・・・ピシャ・・・。
血を踏んで行くオレの足音。
それを聞くだけで、足ががくがくする。
やっとの思いでたどり着き、平助の口元に手のひらを寄せる。
わずかに、息がかかった。
それに、
「・・・うぅ・・・・・。」
とうめき声さえもらした。
生きてる。
まだ、死んでいない。
それだけで、心の重しが軽くなった。
でも、これで終わりじゃあない。
今生きていても、この状態で放っておけば、この出血の量だ。きっと、死んでしまう。
止血しなければ。
オレは、応急処置のやり方など、これっぽっちも知らない。
だから、ドラマや漫画の見よう見まねで、着物の裾を引きちぎり、額にぐるぐる巻いた。
巻いていくそばから、布に、血がしみこんでいく。
もう一枚巻いて、また巻いて。
これが、正しいのかは分からない。
間違った応急処置かもしれない。
でも、なにもしないでいるのは、どうにもガマンが出来なかった。
なるべく頭を動かさないように注意しながら、平助を部屋の入り口近くまで連れて行った。
玄関のある隣の部屋ではまだ戦いがくりひろげられているのか、金属のぶつかり合う音、叫び声、そしてたまに「壬生浪め!!」などの罵声も聞こえてきた。



