迷いを振り払って、声の聞こえた隣の部屋に入った。
目に飛び込んできた光景は、先ほどのオレの思いをふっとばした。
帰りたい
見なきゃ良かった
平成ではめったにお目にかからない、嫌な光景だった。
相打ちだったのだろうか。
その部屋の床には、胸をばっさりと斬られ、血まみれで倒れている浪士と、額からドクドクと血を溢れさせている、あいつがいた。
そう、平助。
浪士の方は、傷は心臓まで届いているみたいだから、おそらくもう死んでいる。
平助の方は、うつぶせになっていて分からない。
このときのオレは、ショックで取り乱すのではなく、逆に呆然としていた。
自分がどうするべきか、すぐには分からなかったから。
扉を抜けた所で立ちつくしていた。



