近藤さんに延々と話を聞かされて、疲れて来たころ、
土方さんがやってきて、「一体いつまでひきとめてんだ、」と言ってくれた。
やっと正座を解けて、足がかなりジンジンした。
朝に屯所に着いたはずなのに、もう太陽は頭のてっぺんまで登っていた。
廊下を歩いて、玄関に着くと、平助、永倉、原田、そしてやけにイケメンな男と遭遇した。
「あ!仁じゃん!何でココに?」
平助がオレに向かって言った。
「洗濯物を届けに。」
オレが言い終わらないうちに、イケメンの男が口を開いた。
「平助、知り合いですか?」
うわ、声までキレイだ。
「前に巡察に出た時、洗濯屋で会ったんだよ。」
平助が答えると、男は「ふうん、」とどうでもよさそうに受け流した。
「平助、この人は?」
オレが男を見ながらたずねると、平助が答える前に、男が答えた。
「僕は、沖田総司です。一番組組長をやらせてもらってます。」
なんとなく、予想はしていた。
沖田総司は、イケメンなんだとクラスの新選組好きの女子が言っていた覚えがあったから。
「・・・で、君は?」
と沖田さんの視線がオレに向けられて、名前の事か、と気が付いた。
「菊池洗濯屋で働いてる、中谷仁です。」
そう言うと、平助から疑問の声が上がった。
「なんで、敬語?総司が敬語だから?気にしなくていいぜ。コイツの敬語は癖だから。それに、総司はオレと同い年なんだし。」
もう、驚きはしなかった。平助が16才ということには驚いたが、沖田さんは年齢相応に見えたし。
「でも、」と言いかけると、沖田さん本人からokをもらった。