永倉さんの後ろで歩き始める。
この人、何歳かな。
20才後半か30才前半くらいに見えるけど・・・。
聞かないでおこう。
また面倒な事になると困る。かなり困る。
今さらだけど、屯所の中には入っていかなかった。
てくてくと外を歩いていく。
急に、永倉さんに話しかけられた。
「えーっとお前、名前は?」
「中谷仁、です。」
「へえ、仁か。良い名前じゃん。で、平助に何を謝るんだ?」
ちょっとはずかしくなったけど、オレは昨日の事を洗いざらい話した。
話し終えると、永倉さんは爆笑しだした。
「アハハハハハハハ!!!それ言ったのか!いっとくけど、あいつに年と身長に関しての話は禁句なんだ。これからは気をつけな!」
「そ、そうなんですか・・・。」
ヤバイな。許してくれるかな・・・。
「さ、着いたぜ。奥に原田と一緒に居るはずだ。」
立ち止まった所は、「壬生寺」と書いてあるお寺だった。
・・・なんでお寺にいるんだ!?
境内の近くに、確かに藤堂さんっぽい人が見えた。
「おお~~~い!平助!お前に客だぞ!」
そう言って永倉さんが走り出した。何となく条件反射でオレも走り出す。
・・・は、速い・・・!!
ぜえぜえと息切れしながら、永倉さんに追いついた。
「あれ?昨日の洗濯屋の・・・」
藤堂さんがオレを見てそう言った。
「中谷仁、で、す・・・。」
「お前に謝りたいんだとよ。」
永倉さんがそう言いながらニヤニヤと藤堂さんを見た。