莉桜の部屋は、俺の部屋の印象と少し似ていた。

1Kの決して広くはない部屋。

インテリアもシンプルで、女の子らしいものはほとんど置いていない。
そこがなんとも莉桜らしかった。


「適当に座ってて」
「あ、うん」


いくら彼女であっても、初めて入る女の子の部屋はやっぱり緊張する。

俺は言われるがままに、小さなテーブルの前に腰掛けた。
その間、莉桜は冷蔵庫から麦茶を注いでいた。


「ん」
「さんきゅ」


コトっとテーブルに置かれた二つのグラス。

莉桜の家に来たのはいいものの、昨日のこともあって気まずさが残っていた。


でもどうしても聞きたい。

莉桜が心のうちに秘めていること。


話してくれるまで待ちたいけど
待っていたら、そのうち莉桜が自分を壊してしまうんじゃないかと思った。


それくらい、昨日の莉桜の怯えはひどかったから……。


「り……」


ピリリリ……


絶妙なタイミング。

口を開いた瞬間、莉桜の携帯が鳴った。