蓮……

そういえば、莉桜に初めて会ったとき、そう呼ばれた気がする……。

あまりにも前すぎて、すっかり忘れていたけど……。


「こんなことしたら、お互いに……」

「わかってるよ!!」


莉桜は叫んだ。

普段、感情をめったに出さない莉桜が、学校の門で大声をあげていた。



「樹と蓮が違うことくらい、あたしが一番分かってる!!」



心の叫びに聞こえた。

泣いて泣いて助けを求めているような叫び。



「だからもうほっといて!!」

「莉桜!!」



莉桜はそのまま走り去ってしまった。


俺は出るに出られなくなり、結局浩介さんがその場からいなくなるまで、立ち尽くしていた。