「学校まで来ないでよ」
「こうでもしないと、お前、しばらく俺のこと避けるつもりだっただろ」
「……」
門の向こう側で、言葉を交わす兄妹。
俺は悪いと思いつつも、身を隠したまま盗み聞きをしてしまっていた。
「この前会ったやつ……
付き合ってんのか?」
それを言われて、俺がドキッとした。
父親ではないけど、相手が兄ということもあって、妙な緊張感がある。
莉桜はしばらく黙ったあと……
「………うん」
ただ一言、小さくうなずいた。
「お前……わかってんのか?
そいつは……蓮じゃないんだぞ!?」
その言葉を聞いて、もっと別の、大きい衝撃が俺を襲った。

