「莉桜!しっかりしろ!!」
「やっ……」
「莉桜!!」


俺はたまらず、震える莉桜の体を抱きしめた。

それでも必死に抵抗する莉桜。
俺は振りほどけないよう、力を込めた。


「莉桜っ……俺だよ。樹だっ……。
 大丈夫だから……。俺に謝ることなんて何もないから……」

「い…つき……?」

「ああ、そうだよ。
 莉桜の今の恋人の樹」

「……」


振りほどこうとする莉桜の力が弱まっていく。
体の震えもおさまっていた。


俺はゆっくりと抱きしめる力をゆるめ、莉桜の顔を覗き込んだ。


「莉桜……」

「………樹…」


焦点が合い、涙をこぼしたまま俺を見つめる。

そしてそのまま……


「莉桜っ……」


気を失うように、俺へともたれかかってきた。