それは、傷を負ってから数年は経っているであろう痕。
だけど大きく残され、今もなお、痛々しそうに見える。
莉桜は俺がその傷痕に目線を送っていることに気づくと……
「……っダメェ!!!」
今までに聞いたことのないような叫び声をあげた。
「りお……?」
「いや……ダメ……ダメッ……」
膝を折り曲げて座りながら、ふるふると震える莉桜。
その震え方は、尋常じゃなかった。
「莉桜っ……」
「…っ」
肩を掴み、莉桜の名を呼びかける。
ビクッと肩を震わせ、顔をあげた莉桜の瞳は、まるで焦点が合っていないかのように揺らいでいた。
「ご、めんなさいっ……ごめんなさっ……」
涙をぽろぽろと流しながら、俺に謝る莉桜。
違う……
これは俺にたいする謝罪じゃない。
まるで俺を通して、別の誰かを見ている。

