「変わってるって何が?」
「あたしといて、退屈じゃないの?」
「べつに……。逆に楽しいけど」
「ほら、変わってる」


俺の答えを聞いて、莉桜はそっぽを向いた。

なんだかそんな莉桜が可愛くて、俺は自分のコーヒーをテーブルの上に置くと、ベッドに腰掛ける莉桜の横に座った。


「莉桜の一つ一つの行動見てるのが楽しい」
「……なにそれ」
「ほら、今ちょっとだけ照れてるだろ」
「……そんなことない」


と言いつつも、目を逸らしたまま、マグカップの中で唇をとがらせてる。


確かに莉桜は感情は豊かではないけど、決して無表情なんかではないんだ。

小さな反応を、いつも示してくれてる。


「それにさ」


莉桜を見ているだけで楽しいということもあるけど、もう一つ決定的なことがある。



「俺、
 莉桜の隣にいるだけで、すげぇ幸せなんだ」



ガシャーンッ……
と、大きな音をたてて、マグカップが床に落ちた。