その声に、俺も莉桜も振り返る。

そこに立っていたのは、俺らとより少し上の男で、振り返った莉桜の顔を見ると、ほっとした顔をしていた。


「よかった…。
ちょうどお前んちに行こうと思ってたんだ」

「……浩介…」


莉桜もその男とは顔見知りのようで、名前を呼んだ。


「もうすぐあいつの……」


そこまで言いかけると、浩介と呼ばれた男は俺の存在に気づいた。

そして……


「……え…?」


俺の顔を見て、その目を大きく見開いていた。


「おま、え………誰?」
「え?」


急に振り掛けられる言葉。

ちょっと不快な質問でもあったけど、それに答えた。


「相沢樹……と言いますが」
「あいざわ……」
「何か?」
「あ、いや……そうだよな………わりぃ。
 俺は莉桜の兄で、水島浩介」
「あっ……そうでしたか。こんにちは……」


まさかの相手は、莉桜の兄で、急なその存在に若干うろたえてしまった。