「でもせっかくだし、駅付近だけでもぶらつこうぜ」
「……うん」
せっかく二人とも、3限で終わり時間を持て余している。
このまま真っ直ぐ帰るなんてもったいなく、俺たちは軽くウィンドーショッピングをすることにした。
莉桜から、あれが見たい、これが見たいといった言葉が出ることはなく、結局俺が見たい靴や雑貨ばかり。
だけど莉桜は決して、嫌な顔はしなかった。
たまに俺のことを、ちらちら盗み見しているような気がしたけど、それにはあえて突っ込まなかった。
「樹ってさ……」
物色しながら歩いていると、ふいに莉桜が話しかけてきた。
「結構子供っぽいとこあるよね」
「はあ!?」
あまりにも言われ慣れていない言葉に、思わず大声をあげてしまった。
どちらかと言えば、俺は男友達の中でも大人の扱いを受ける。
だから莉桜にそんなふうに言われたことが意外だった。

