「どっか行きたいとことかあんの?」
「なんで?」


大学までの帰り道、家に向かいながら話しかけると、莉桜から目線だけ向けながら、逆に聞かれた。


「いや、一緒に帰ろうなんか言うから……俺と行きたいとことかあるのかなー、なんて……」
「べつに、とくにない」


バッサリと切られた。

なんだかなー……。


「ただ樹と一緒の時間を過ごしたかっただけ。
 それだけじゃダメ?」


天然なのか、計算なのか……。
上目づかいでそんなことを言ってくる莉桜。

俺はぶんぶんと首を振った。


「全然ダメじゃねぇっ……。超嬉しい!」
「………必死すぎ」


俺の反応に、莉桜はほんのり笑った。


ほら……
こういったたまに見せる笑顔が、どうしようもなく可愛いんだ……。