「ごめん!遅れたっ」


3限が終わって、俺は約束通り門へと向かった。

そこにはすでに莉桜の姿があって、俺は慌てて走る。
雄太のやつが、3限が終わってからも問い詰めてきて、振り切るのが大変だった。

幸いにも、雄太が4限も入ってるから、ついてくることはしなかったけど。


「大丈夫。いこ」
「ああ」


莉桜は真顔のまま先を歩く。

今までだったら、そんな莉桜の態度に、冷たい…とか思っていたかもしれないけど、今ならわかる。


莉桜は愛想笑いとか、作り笑いとか
そう言ったものをしない子なだけなんだ。


だからこそ、莉桜が笑うときは、本当に楽しいときや嬉しいとき。


それが分かってから、俺は無表情のままの莉桜の隣に並ぶのが、楽しくなっていた。