拒まれるかと思った。
突き飛ばされるかと思った。
だけど莉桜は何もしない。
一度唇を離すと、莉桜は真っ直ぐと俺を見つめている。
そしてその大きな瞳を閉じ……
俺たちはもう一度、重ねるだけのキスをした。
莉桜がいったい、どういうつもりで俺のキスを受け入れたかなんてわからない。
だけど俺は、いつも遠くを見ている莉桜が悔しくて
目の前の俺を見てもらいたくて
つい自分の欲に負けて、唇を重ねてしまった。
だから拒まれることを覚悟していたのに、
莉桜はただ俺のキスを、受け入れるだけだった。
俺はゆっくりと、唇を離した。

